大腸カメラのページ

 当院で大腸カメラを受けたいとお考えの方は、まずは電話でお問い合わせいただき、検査の予約状況をみながら日程の調整を抑えてください。検査前1週間に来院いただいて、腸管洗浄用の物品などをお渡しし、院長、スタッフから検査の説明と前処置の方法の説明を聞いていただきます。

 

 もちろん、直接来院いただいても構いません。

大腸カメラ(下部消化管内視鏡検査)

 検査当日の朝から3リットル程度の下剤を飲んでいただいて、多量の下痢をおこさせて大腸内の便をすべて洗い流します。検査は午後から行います。

 この検査は検査の前にどれだけ大腸の中をキレイにできるかが大変重要です。濁った水が残っていると挿入が困難になるからです。

 

 ということは、この3リットルの下剤が飲めない方は検査ができません。全身状態の悪い方やあまりにご高齢の方は下剤を飲むことで、かえって身体の調子が悪くなってしまう恐れがあります。個人差が大きいですが、80歳代後半以降の方は難しいと思います。

 検査で身体の調子を崩してしまっては、本末転倒ですね。

 肛門からカメラを挿入して、直腸、S状結腸、下行結腸、横行結腸、上行結腸を通過して、小腸から大腸につながるバウヒン弁を確認するところまでカメラを到達させます。

 

 S状結腸、横行結腸の部分はどこにも固定されておらず、どんな風にも動いていきます。カメラを強く押しすぎるとこれらの結腸が大きく引き伸ばされて、強い痛みになります。これらをいかにして押さずに畳み込んでいけるかが、検査をする側の腕の見せ所です。強く押さずに入っていけば、強い痛みはないはずです。

 カメラの挿入が簡単か、難しいか…。患者さんの腸管次第という要素が大きい検査です。

 ヒトによって、腸管の長さ、腸管周りの脂肪組織の量、固定の強さ、すべて違います。腸管を畳み込んで挿入できれば痛みなく、10分以内に終点まで到着しますが、畳み込めない腸管の場合、一時的にカメラに押しが入るので、その際に痛みが出ることがあります。20分程度かかってしまうこともあります。

 私としては、カメラの到達時間よりも、多少時間がかかっても痛みを最小限にする挿入方法を探しながら検査を行っています。

大腸カメラでわかること

大腸がん

 大腸がんは表面の粘膜から発生します。サイズが大きくなるにつれ、表面の形が変わっていくので、内視鏡で観察すると、どの程度の深さなのかがおおよそ推測できます。粘膜~粘膜下層までの深さの”早期大腸がん”、腸管を動かすための筋肉層より深くまで浸潤した”進行大腸がん”を区別することができます。大腸がんを強く疑った場合、組織を採取して顕微鏡の検査(病理検査)に提出します。大腸がんの部位をカメラが通過するのであれば、さらに奥まで挿入して、他に病変がないかを観察します。

大腸ポリープ

 腺腫と呼ばれる”良性のポリープ”は腫瘍ですので、ゆっくりと大きくなってすべてではないですが、大腸がんへと変化していきます。そうなる前に切除することが勧められています。

 小さなポリープはその場で切除しますが、大きなものや一部大腸がんを含まれる可能性のあるものは、病院での切除をお願いしています。

 通常大腸ポリープは焼き切って切除するEMRという方法で行われていますが、2-3%程度にポリープ切除後の出血をきたすことが知られています。焼いたことでやけどが広がったためです。切除当日の夜に起こることがほとんどです。多量の下血を起こしたら危険な状態に至ることも心配されます。病院での切除では、内視鏡でポリープを切除した当日1泊入院して、朝出血がなければ退院ということが多いようです。患者さんの安全のため、病院へ紹介しています。

 

 当院では焼かないでポリープを切除できる方法(コールド ポリペクトミー)で切除できるポリープだけを切除の対象にしています。やけどにならないので、切除後の出血の危険性がほとんどないからです。


炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)

 便が固まらなくなった、一日に何度も下血を繰り返すようになった…、10代から40代であれば潰瘍性大腸炎を疑う症状です。大腸カメラで粘膜の観察をして、組織を採取し、診断基準に照らして潰瘍性大腸炎の診断をつけます。

 クローン病は消化管のいろいろなところに潰瘍を作る病気です。こちらも同様に大腸カメラで粘膜の観察をして、組織を採取し、診断基準に照らして診断をつけます。

大腸カメラは何歳くらいから受ければいいのか?

 下の図をみていただくと、大腸がんは40歳以降から立ち上がり始め、50歳以降から急上昇していきます。60歳以降ではかなりの数の方が大腸がんに罹ります。

 大腸がんは詰まって腸閉塞になるか、多量の下血がみられるかしないと、症状が出てきません。最低限、便潜血検査による大腸がん検診は1年に一度受けましょう。陽性になれば放置せずに大腸カメラを受けるべきだと思います。

 60歳以上の方には強く大腸カメラを勧めます。50歳代の方には50歳代の間に一度は大腸カメラをしませんかと勧めます。40歳の方はご本人の希望が強ければ検査します。40歳より若い方は、よほどの理由がないかぎりはあまり勧めていません。

 大腸内視鏡検査でカギを握るのは、いかに腸管内の便を洗い流してきれいな状態にすることができるかどうかです。これが不完全で便が残っていたり、便中で濁った液が充満していると、きちんとした検査ができません。検査を中止することもあります。

 

 当院での腸管洗浄を含めた検査前の準備を、「大腸カメラを行うための準備」のぺ-ジにまとめています。検査をお考えの方は是非ご覧ください。

 

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 当院で大腸カメラを受けたいとお考えの方は、まずは電話でお問い合わせいただき、検査の予約状況をみながら日程の調整を抑えてください。検査前1週間に来院いただいて、腸管洗浄用の物品などをお渡しし、院長、スタッフから検査の説明と前処置の方法の説明を聞いていただきます。

 

 もちろん、直接来院いただいても構いません。